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鋼鉄の背中

鋼鉄の背中

(1)~(6)

(1)
受付をなんなく済ませレッカーの案内を待っていると、
ゴロウ「…ヨコスケ、なんか赤いチョロQが近づいて来てるっすよ。ほら。」
振り向くと確かに目の前からチョロQが俺の方に向かってくる。と、見た瞬間に「ヤツだ」と思った。マイシティで北に向かったと聞いた…そう、カグルである。
久しぶりに見るが、見かけが格好良くなったと思ったのは俺だけだろうか?
カグル「よっ、道楽なしの一途な男!レースはどこまでクリアしたんだ?」
ヨコスケ「勝手にオレの名前を変えるなっ!レースならサンドポリスまでクリアしたよ。まだこことマロンキャニオンのレースはしてないんだ。」

(2)
ブッチ「…あんた、何者だ?」
カグル「ああ俺か?俺はヨコスケのライバルさ。ハハハハハ!」
ヨコスケ「全く。こいつはピーチタウンで知り合った、う~んライバルって言うかなんと言うか…で、名前はカグルって言うんだ。」
ブッチ&ゴロウ「へえ~。」
カグル「まあ覚えてるだけでいいぜ。『こんなヤツもいたよな』くらいでいいからさ、よろしく。ところで今回のコースについて知ってるか?なんでも長~いオフロードコースっては聞いているんだけどな。…まあ今回こそはお前に勝つぜ。エンジンもタイヤも新調したばかりだからなっ。」
ヨコスケ「よく言うぜ。お前ってヤツは。」(なるほど、それでちょっと格好良くなってたってわけか。)

(3)
話しているうちにレッカーの案内が始まった。オレ達(オレチーム+カグル)も案内について行く。
キノコロードの奥地に行くと、BARの奥に道が続いていて各車レッカーに案内されてそこに入っていった。しばらく行くとキノコが、いや、その形をした控え室が見えてきた。
午後4:00、夕暮れが空を染め始めたころに各自準備に入った。さっきまでゴロウの横を走っていたカグルもいつしか準備に行ってしまったようだ。

10分ほどして準備の時間が終わり、各車レッカーに案内されコースに入る。ここにもキノコが生えている。路面は赤土のオフロードだ。
スターティンググリッドにつく。するとすぐに試走が始まった。

(4)
始まってすぐ、ジャンピングスポットが待ち構えていた。川を飛び越すか下に着地して川に沿っていくかで選択を迫られるのだが、今は試走と言うこともあって大多数(オレも)が川に沿う道を選んでいた。飛び越したヤツは俺の左の断崖の上を走っている。程なくして上に橋が見え、断崖の上を走っていたヤツはそこを渡って、今度は俺の右の方を走る格好になった。
要はその橋で上と下の道がクロスしているということだ。
橋を過ぎると右に曲がり、丸太がルートに直角に横たわる道を抜ける。トンネルに入るところで別れたヤツらと合流し、入ってすぐに右、左と切り返すS字コーナー。ここにもキノコが生えていて、またクイックステアにも少しきつめのR(半径)だった。
トンネルを抜けると後は高速セクション。緩い右コーナーをひとつ過ぎてしばらく走るとゴールとなる。距離が長いせいか、ただ走るだけでもなかなかきつく感じられたし、特にS字が攻略のキーポイントとなるだろう。
スターティンググリッドにつき、スタートの瞬間を待ち侘びている間も、オレはいつもと変わらぬ心持ちでいた。ここから先、待ち構えるものがある事など知らずに…。

(5)
シグナルが青になってレース開始!
最初の分岐点、ステアを右に切って…着地成功。後ろには川を飛び越えることに失敗して、落ちたのが多数いたが、それはともかく上位のヤツはほとんどがジャンプに成功していた。たったこれだけで順位は24位から一気に12位になっていた。
川の中でも、水の抵抗の少ない岸辺の方を走り、川から上がって丸太ロード、左端ギリギリに抜け道があったので容易にクリアして加速。
合流地点でトップグループの後ろにつきトンネルに入る。しかし土煙で視界が奪われ何も見えない!
ヨコスケ「クッ…仕方ない、勘で行くぜ!」
左に煙の切れ目がありそこから瞬時に壁との距離を確認。そして、
ゴオオオオオッ!
低い音をトンネル内に響かせながらカウンターを当て続け、最初の右コーナーを曲がり切ったところでそのまま車体を左にねじまげる。カウンターステアを当てていたことで、その早さが際立った。
前の動作を素早くしたことで、加速に移るのも早かった。すぐ前のトップグループに追いつき、そこで5位のカグルの後ろに引っ付いた。
カグル「マジ!?もう追いついてきたのか。」
ヨコスケ「まあね~。」

(6)
加速するカグルの後ろでスリップストリームをしながら2周目に入った。
入ってすぐにカグルの横に出てほぼ同時にジャンプ。崖の上に着地した後は緩めの右カーブ。曲がってすぐ橋を渡り、しかし渡りきったところで道を逸れ、崖の下に飛び降りた。と言うのもこのままいくと丸太のある道を通ることになるからだ。今の俺にとって、丸太の間をスラロームする事は苦手なものの1つ。無理をすることは、もちろん出来ない。
崖の道と下道の間にある起伏の多い土地を走って、合流地点で元のコースに入った。順位は三つ上がって3位になっていた。前にはディーツ、ベルベット、後ろにはカグル、ピーオー、ジェームズ、ブッチが競り合っている。
トンネルで1周目のようにライン取りし、順調に抜けたところで、その均衡をカグルが破った。高めのエンジン音とともに加速して俺に仕掛けてきたのだ。あの言葉は嘘ではなかった。
…勝負を仕掛けられた以上受けないわけにはいかない。
逃げる準備のようにエンジンを吹かしてそのまま加速したが、焼け石に水。最後の長い右コーナーを過ぎたあたりから徐々に差が詰まってきている。
ヨコスケ「…これは、本気で行くしかなさそうだな。」

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